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大田区に住むビールオタクのblog

『相模の国のチェコビール。-ビール、あるいは音楽-』EBINA BEER(神奈川/海老名)2020.12.06訪問

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↑TOHOシネマズのシネコンの前から見たViNAWALK。奥に海老名駅。手前右のモニュメントは相模国国分寺の七重塔を再現した物。こうして見ると箱庭感のある風景だ。↓名代箱根そばかき揚げそば@海老名東口店

海老名。実際に行ってみると、その意外な繁栄っぷりに驚く街の一つだ。

海老名にはJR、小田急、相鉄の三つの鉄道路線が乗り入れており、中でも小田急は駅舎が一番大きく新しく、いかにもメインを張っているという感じだ。プラットホームに入って来る車輛も心なしか堂々としているように見える。小田急系列の駅そば名代箱根そばの店舗も海老名には二軒もある!!

逆にJRの相模線の海老名駅は、仲間外れにでもされているように少し離れたところにあり、プラットホームも小ぢんまりとしていてローカル路線感がある。乗り入れて来る車輛も4両と短い。

海老名の街の中心部となっていて、より発展しているのは圧倒的に駅の東口側だ。筆者は東口側には降りたことが無かったのだが、今回降りて少し歩いてみることにした。

駅前ロータリーから中央公園の上を跨いで、高架の広い歩行者通路のある巨大な商業施設ViNAWALKビナウォークが広がっている。歩行者通路を囲むようにマルイデパートや、シネコンの入った大きな建物が立ち並んでいる。

ViNAWALKの終点からなだらかな坂を少し上ると、昔の相模国国分寺跡の史跡があってちょっとした歴史散歩も楽しめる(もっとも現在では七重塔の土台が残っているだけの、子供たちの遊び場になっているただの広場でしかないが)。国分寺跡の向かいには郷土資料館海老名市温故館があり、縄文時代から近代までの海老名市の歴史資料を展示している。入館料も無料なので立ち寄ってみるのもおすすめだ。

 

海老名駅西口側。相模線の線路がはるか南の茅ケ崎の方へと続いている。丹沢山系の山塊が遠くに霞んで見える。駅を出て西口方面に向かう人々もある程度はいるが、そのほとんどはららぽーと海老名の入り口へと吸い込まれて行く。東口側と比べるとどうしても殺風景に映ってしまうが、西口側も2015年にオープンしたららぽーと海老名とその周辺の扇町の一帯は再開発の手が少し入っていて、きれいな道路が引かれていて、広い歩道が整備されている。

今回訪れたEBINA BEERも、ちょうどららぽーとと道路を一本隔てた向かい側正面のビルの1階に居を構えている。

 

EBINA BEER

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EBINA BEER

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EBINA BEER店内。カウンターの上のボードにタップメニューが手書きで書かれている。筆者的にはこの日のタップメニューは大当たり。あとDark Lagerが入っていれば完璧だった。

EBINA BEERエビナビール醸造は2017年に開業したブルワリーだ。醸造所に併設されたレストランバーはガラス張りの開放的な外見で、土日は昼の早い時間から店を開けていて、主に地元・海老名の住民たちが食事と、EBINA BEERのビールを飲みに来る。

EBINA BEERの共同オーナーでも醸造長でもあるチェコ出身のTomas Rehakさん(以下トマさん)は、前身がチューバのプロの演奏家という変わった経歴の持ち主だ。プラハ国立歌劇場管弦楽団プラハフィルハーモニー管弦楽団の2つの楽団に所属し20年に渡ってチューバの演奏を続けてこられた。

EBINA BEERは、やはりチェコ出身のトマさんだけにチェコスタイルのビールとドイツスタイルのビールを主に醸造している。チェコビールといえばやっぱり、ドイツ語読みではPilsner Urquellピルスナーウルケル、某新宿御苑前のビアパブのようにこだわりを持ってチェコ語読みで呼べばPlzeňský Prazdrojピルゼンスキープラズドロイで有名な、ボヘミアンスタイルのPilsnerピルスナーだろう。というわけで筆者もこの日の一杯目に、まずはピルスナーを頼んでみる。麦芽の甘味とホップの苦味のバランスがちょうど良い。さすが国民一人あたりのビール消費量が世界一のチェコビールの代表的スタイル。何杯でも飲めそうな飲みやすさだ。

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EBINA BEERのPilsner

二杯目。初開栓だというKyselýキセリー、これ行ってみよう。サワーウィートスペシャル。むむ、どんな感じだろう?

と、ここでちょうど良く隣の醸造室から出て来たトマさんが通りかかったので話しを聞いてみる。

 

otakubeer: やあ、トマさん!今からKyselý飲むよ。Kyselýはチェコのサワービール(酸っぱいビール)なの?

トマさん: 違う。チェコのビールにはサワービールは無い。これはWit(小麦)を使ったベルギーのスタイルのサワー。Sourはチェコ語でKyselý。だから。

otakubeer: なるほど。これには何かフルーツは入れているの?

トマさん: いや。フルーツは入っていない。酵母と菌(乳酸菌?)だけの発酵。

 

と、まあ。トマさん。忙しい中ありがとう。Kyselýはキウイフルーツのようなフルーティーさと、そこまで強くない酸味があり、これもとても飲みやすかった。

 

この日フードメニューではBramborákブランボラークを頼んでみた。Bramborákは、すりおろしたジャガイモとニンニクに卵や小麦粉などを混ぜて揚げて作るチェコの家庭料理なのだそう。平べったいコロッケのような感じだった。EBINA BEERのフードメニューは他にソーセージ、ナチョス、串揚げなどがある。

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Bramborák

この日は飲まなかったがEBINA BEERのビールでは他に、アロマホップが効いてフルーティーEbina Lagerや、チェコ本国ではピルスナーと匹敵するほど飲まれているというDark Lagerも筆者的におすすめだ。Lemon PilsnerYuzu Pilsnerなどのフルーツピルスナーも美味しい。トマさん本人が推すのは、これはドイツスタイルだがトマさんが楽団時代にドイツで飲んで好きになったというHefeweizenである。まあ、EBINA BEERのビールは大抵どれも美味しいです。

 

EBINA BEERはボトルビールも生産していて買って帰ることも出来る。ボトルのラベルにはホップと金管楽器(チューバかな?)のマークがあしらわれたEBINA BEERのエンブレムが正面にあって、裏面にはまるでクラシック音楽のレコードジャケットかのように、タキシードに蝶ネクタイ姿のトマさんの写真がある。

そう。EBINA BEERとはビール醸造というかたちであっても、トマさんにとって管弦楽と同様に演奏であり、作品であり続けるのだろう。

 

あなたも、EBINA BEERで素晴らしい時間を過ごされてはいかが?

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海老名駅西口側

EBINA BEERの基本情報

住所: 神奈川県海老名市扇町5-5-4 扇町見世ビル1階

電話番号: 046-259-8730
アクセス: 海老名駅から徒歩約5分

営業時間: 火-金 17:00-22:30 土日祝 14:00-23:00 月曜休